香港に来たら一度は乗ってみたい「スターフェリー」(天星小輪)!
私も日本から知り合いが遊びに来ると必ず案内します。
鉄板ルートは尖沙咀(チムサーチョイ)と中環(セントラル)を結ぶ航路です。
その日の観光スケジュールに合わせてどちらか片道だけフェリーに乗り、後の片道はタクシーや貸し切りバスで海底トンネルを通るか地下鉄に乗って海の下を移動します。
この1888年に運行が始まってから九龍と香港島を結ぶ交通手段の主役として活躍してきた「スターフェリー」は船の上から香港島と九龍の両方を眺めながらビクトリア湾を移動する最高の観光スポットと言えるのではないでしょうか?
- でも残念なことに香港にあまり詳しくなくて乗り方が分からない人が多く、船に乗るのを敬遠してしまう人も多いようです。
そこで今日はこの最高の観光スポット「スターフェリー」の乗り方をご紹介します。
そして1970年代以降、海底トンネルや地下鉄が発展していくに従ってビクトリア湾を結ぶ交通手段として「スターフェリー」がどのような位置づけになっていったのかを解説していきます。
タップできる【目次】
スターフェリーの乗り方
今回はチムサーチョイからセントラルのルートを例にとってご紹介します。
湾仔(ワンチャイ)行に乗る場合も乗り方は同じです。
運賃
セントラル行
月~金曜日 (祭日を除く) |
土・日曜日及祭日 | |
---|---|---|
大人 | 上層$3.2(45円) 下層$2.6(36円) | 上層$4.2(59円) 下層$3.6(50円) |
子供(3至12歲) | 上層$1.9(27円) 下層$1.8(25円) | 上層$2.5(35円) 下層$2.4(33円) |
身体障害者 | 上層$1.9(27円) 下層$1.8(25円) | 上層$2.5(35円) 下層$2.4(33円) |
高齢者(65歲以上) | 無料 |
湾仔行き (上層階のみの運航)
月~土曜日 (祭日を除く) |
日曜日及祭日 | |
---|---|---|
大人 | $3.2(45円) | $4.2(59円) |
子供(3至12歲) | $1.9(27円) | $2.5(35円) |
身体障害者 | $1.9(27円) | $2.5(35円) |
高齢者(65歲以上) | 無料 |
- 3歳以下でも身長が95㎝以上のお子様はパスポートなど年齢を証明する書類がない場合、3歳以上とみなされて子供料金を支払わなければなりません
- 65歳以上の高齢者の方は身分証明書と高齢者八達通が必要という事になっていますがパスポートを見せれば臨機応変に無料で乗船できます
- また、全てのフェリーで身体障碍者の車いすを4台まで乗船可能になっています
乗船までの行程
- 上層階と下層階のどちらか選ぶ ワンチャイ行は上層階だけです
- 改札口を目指して進みましょう 案内表示が出ています
- 改札で運賃を支払う 小銭か20ドル紙幣を準備する
- ゲート前で船が着くのを待ちます できるだけ前に並びましょう
- フェリーに乗り込む 香港島に向かって左席がおすすめ
- フェリーを降りる 揺れに気を付けてください
- 次の目的地への進み方 歩道橋の一本道です
1.上層階と下層階のどちらに乗るか選ぶ
まずは上層階と下層階のどちらにするかを決めて下さい。(ワンチャイ行は上層階だけ)
上層階の先頭はエアコンも効いていて快適ですが下層階はもちろんエアコンはありません。
私は10円高いだけなのでいつも快適な上層階に乗ります。
2.改札口を目指して進みましょう
上層階と下層階は改札に向かう入口が別になっているのでそれぞれの入口を探してください。
上層階の入口にたどり着いたらセントラルト行とワンチャイ行を間違えないように確かめてから改札口を目指して進んで行きましょう。
3.運賃を支払う
改札口にたどり着いたら現地の人はみんな八達通(オクトパスカード)で支払いますが現金でも大丈夫なので小銭を用意しておきましょう。
運賃は前に提示した運賃表を参考にしてください。
参考までに八達通(オクトパスカード)は乗り物だけでなくコンビニや飲食店そして一般レベルの商店舗でも使えるのでとても便利です。
地下鉄の各駅のサービスカンターでカードでデポジット50ドル(700円)と現金100ドル(1400円)の補充分を支払うだけで簡単に購入できます。
そして最後に現金の補充をしてから1000日間の有効期限があるので香港ファンで1,2年に一度は香港に遊びに来る方は買っておいた方が何かと便利です。
4.ゲート前で船が着くのを待ちます
改札を無事通過したら真っすぐゲート近くに進み、船が着くのを待ちます。
5.フェリーに乗り込む
フェリーが着いたらゲート前に並んで下さい。窓際のいい席を確保するためにできるだけ前に並びましょう。
ゲートが開いたらフェリーに早歩きで乗り込み、香港島に向いている方が先頭なので前の方の窓際の席を陣取りましょう。
先頭の窓のあるエリアはエアコンが効いているのでとても快適です。
写真撮影したい方は香港島に向かって左側の窓際の席をお勧めします。セントラルからワンチャイ、コースウェイベイまで香港島が見渡せてワンチャイからチムサーチョイに向かうフェリーと交差することもあります。
また、香港島に近づいてきたら後方に移って九龍側を撮影しましょう。 移動するときは少し揺れるので気を付けて下さい。
6.フェリーを降りる
フェリーを降りる時の注意ですが、船が停泊するまでは横揺れが起きやすいので下船が始まるまでは立たない方が無難です。
そして降りる時は慌てずに揺れに気を付けてゆっくり降りて下さい。 そして出口までみんなの後を付いて行けば大丈夫です。
7.次の目的地への進み方
船を降りて坂を上がるとすぐ出口なのですが中二階になっているので、バス・タクシーや他のフェリーに乗り換える人は階段を下に降りていきましょう。
降りて海を背に右の方に山頂行のバスや離島行のフェリー乗り場があります。
そしてセントラルの街に出かけたい方や地下鉄に乗り換えたい方は階段を上に上がって歩道橋をひたすらまっすぐ進んでください。
途中左側には観覧車が見えて、更に歩くと右側のIFC (国際金融センター)のアップルショップが見えてきます。
時刻表
尖沙咀(チムサーチョイ)/ 中環(セントラル)
赤字:始発便 / 青字:最終便
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尖沙咀(チムサーチョイ)/ 湾仔(ワンチャイ)
赤字:始発便 / 青字:最終便
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スターフェリーの歴史と今の状況
戦前の情報
スターフェリーができるまでの香港島と九龍をつなぐ公共交通手段はいくつかの小型連絡船で各々バラバラにこの区間を運航していました。
そして1888年に連絡船の代わりに「カオルーン・フェリー・カンパニー」がフェリーの運航を開始しました。
その後1898年に、イギリス系企業である「スター・フェリー」社によって会社そのものが引き継がれることになり5月1日から運航を始めました。
そして1906年4月1日に九龍のソールズベリー・ロードにスターフェリー専用の船乗り場が作られ、所有する船舶と運航ルートも増やしていきました。
戦後の情報
第二次世界大戦中の1941年12月に日本軍が香港のイギリス軍と戦闘状態になり、その後日本軍がイギリス軍を放逐して香港を占領下に置いた間には、44ヶ月運航を停止しました。
その後1945年8月、日本がイギリスを含む連合国との戦いに敗北し、香港が再びイギリスによる植民地支配下に戻ると、1946年から運航を再開しました。
1966年に運賃を5セントから10セントに値上げすることを発表すると、香港住民らによる値上げ反対デモが起こりました。それは当時文化大革命直前で荒れていた中国共産党系住人らが中国政府の指示による反英暴動でした。
その間フェリーが運休されると香港中の交通が麻痺し、スターフェリーは香港の歴史にも大きな影響を与えたことは間違いありません。
運命のライバル登場
その後の1972年のヴィクトリア・ハーバーの両サイドを結ぶ海底自動車トンネルの開通にすると、バスやタクシー等の車による香港島への往来が便利になって、乗降客数が大幅に減っていきました。
その後1980年2月12日に地下鉄荃湾線の尖沙咀駅(チムサーチョイ)-金鐘駅(カムチョン)間が開通し、1989年に2本目の自動車トンネルが開通したことで、さらに乗降客が減少しました。
チムサーチョイ駅からわずか5分でカムチョン駅に着いてしまうのだから無理もありません。
そして今では、カムチョンで乗り換えて香港島の東の端まで移動することができます。
という訳で「スターフェリー」は今やヴィクトリア・ハーバーの香港と九龍の両サイドを結ぶ交通手段の主役から脇役になってしまいました。
現在の情報
2006年に長年使用されてきた中環のフェリー乗り場が自動車専用道路建設に伴う区画整理に伴いIFC(国際金融センター)側の埋め立て地に移設しました。
その時に49年間の間使用されてきた時計台が取り壊されることになり、「歴史的建造物である時計台を保存すべきだ」と反対する市民運動家が反対運動を行っていましたが、残念ながら抗議は通らず取り壊されてしまいました。
その後2011年3月31日にホンハム(紅磡)からセントラルとワンチャイ行のフェリーが運航を停止し、チムサーチョイからセントラルとワンチャイへのルートだけの運航になりました。
現在の尖沙咀・中環・湾仔のフェリー乗り場には直ぐ側にバス停やタクシー乗り場が設けられています。
そして売店、飲食店そしてお土産屋やATMなどもあり、フェリーの利用客が不自由することがない便利な環境が整っています。
現在香港市民の忙しい生活の中でほとんど利用されることはなくなりましたが130年以上の歴史を持つ「スターフェリー」は香港市民の頭のどこかに記憶されています。
チムサーチョイ スターフェリーの地図
セントラルとワンチャイ スターフェリーの地図
スターフェリーのまとめ
130年以上の歴史を持ち海底トンネルと地下鉄ができるまでは香港と九龍を結ぶ唯一無二の交通機関だった「スターフェリー」。
私が香港に来た1981年頃はまだまだスターフェリーが主役で通勤時間は特に乗客が多くゲート前は常に人だかりが出来ていました。
それが海底トンネルと地下鉄が発展するに従って乗客が減少し、近年の利用者はほとんどが観光客だと言っても過言ではありません。
特に地下鉄の影響が大きく香港島と九龍を結ぶ荃灣線は時刻表など必要なく2~3分間隔で運行しチムサーチョイからだとセントラルに6分で到着します。
地下鉄の入口は街のあちこちに有りとても便利なので必然的に地下鉄を利用することになります。
コロナの影響で頼みの綱の観光客まで無くなり、このままだとスターフェリーはいつ無くなってもおかしくない状況だと思います。
皆さん、この香港の観光スポットとも言える「スターフェリー」を守るためにも今度香港を訪れる時は必ずスターフェリーに乗ってビクトリア・ハーバーを渡ってみましょう!